フィリピンにおける税金の損得について
フィリピンにおける税金の「有利・不利の判断」に関するコラムを記載したいと思います。
Q.フィリピン法人(通常法人)が、現地駐在員のためのコンドミニアムの支払を行います。どのような点に注意すべきでしょうか?
- まず家主にOfficial Receipt【領収書】(以下、OR)が発行可能かどうかを確認してください。ORの発行は不可能な場合は、コンドミニアムの経費は税務上の損金にならないため、法人税法上、給与支給の方が有利になります。一方で、ORの発行が可能な場合は、駐在員の税率とFringe Benefit Tax【フリンジベネフィット税】(以下、FBT)の税額計算の比較が必要です。概算ですが、駐在員の税率が27%以下であれば、給与支給の方が有利になります。
Q.フィリピン法人(通常法人)が、親会社である日本法人に利息や配当を払い、利益を還流することを予定しています。フィリピン側では、源泉税という税金を納付するということは知っているのですが、その税金に対して日本側で「外国税額控除」と「損金算入」のいずれかを選択する必要があると聞きましたが、どちらが得になりますか?
- 通常は「外国税額控除」を適用するケースが得になります。しかし、親会社である日本法人が欠損金を抱えている場合は、そもそも税額控除を使用することができない可能性が高いため、繰越年数が多い「損金算入」を選択するケースもあります。
- フィリピン法人(PEZA企業)が、100%親会社である日本法人に対する利益還流として、利子や配当のいずれかで考えていますが、どちらがよいでしょうか?
- 通常は配当により還流させる方が得になるかと考えます。理由は、日本には「受取配当金の益金不算入制度」があるためです。通常は、フィリピン側の経費は日本側では益金となります。ところが、PEZA企業が利息を支払った場合、その支払利息は、5%GIE課税(売上総利益の5%による課税で完了)のためフィリピン側で損金にならず、日本側で益金となり、法人税が課税されることになります。一方で、配当を支払った場合、支払利息と同様に法人税の計算には影響しないと同時に、日本側でも益金不算入となり、法人税がほとんど課税されない制度があります。そのため、上記の通り、配当の方が有利であると考えられます。ただし、利子に対する取引は移転価格税制にも留意する必要があります。
【取引】 | 利子 | 配当 | ||
【税務上の取扱い】 | フィリピン | 日本 | フィリピン | 日本 |
損金不可 | 益金 | 損金不可 | 益金不算入 |
本記載事項は事業運営上の参考としての内容であり、法律、許認可、税制、社会保険、その他の法令を解説するものではなく、その内容について何ら保証するものではありません。
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