Permanent File などの確認について
1.Permanent Fileについて
フィリピンにおいては、会社運営上、様々な書類があります。しかしながら、日本人管理者がそのすべてを把握することは難しく、また、見慣れない書類が多いため、そのポイントが不明確になりがちです。
今回のコラムでは、会社運営上、最低限確認すべき書類について、ご紹介したいと思います。このPermanent File と呼ばれる書類は、その保管が必須であり、変更の都度、適時に更新する必要がある書類の総称をいいます。これらの書類を確認することで、会社の全体像を把握することができるとともに、管理業務を円滑にすすめていく上において、非常に重要な書類です。
書類名 | 内容 | 管轄行政 | 留意すべきポイント |
SEC: Certificate of Incorporation | 会社設立の証明書 | SEC | SEC登録番号、会社名、会社設立日 |
AOI Articles of Incorporation | 会社定款 | SEC | 事業内容、本店所在地、存続年数、授権資本金額 |
By Laws | 附属会社定款 | SEC | 定時・臨時株主総会のスケジュール、事業年度(決算月) |
Unified Registration Record | SEC, BIR, SSS, Philihealth, PagIbigの登録番号など | SEC | それぞれの行政における登録番号の確認 |
General Information Sheet (GIS latest) | 会社基本情報、株主や役員に関する情報 | SEC | 株主構成、役員構成 |
BIR Certificate of Registration (BIR 2303) | 税務当局への登録情報 | BIR | 納税者番号(TIN)、会社名、屋号、登録事業内容、申告税項目 |
Audited Financial Statement | 監査済財務諸表 | SEC、BIR | 現金預金残高、関係会社間の債権債務残高や取引内容 |
* 一般的な株式会社を前提としているため、駐在員事務所や支店などの法人形態の場合は、あてはまらない場合がございます。
* あくまでも基本的な書類を掲載しているため、すべての書類を網羅していませんので、ご留意ください。
2.役員等の実在性の確認
フィリピンの株式会社の場合、取締役、秘書役、財務役といった役職を設置する必要があり、会社のグループ関係者以外の方がその役職に就任しているケースが一般的です。そのため、今まで一度も顔すら合わしたことがない方も中にはいらっしゃるケースがあります。また、就任している役職者が、死亡、失踪、入院、海外移住などの理由により、フィリピン国内において必要な時に連絡が取れない、又は、音信不通というケースが散見されます。そのため、確実に連絡が取れる方が上記の役職に就任しているかどうかの確認は、実務上、極めて重要です。
3.株主名簿の確認
フィリピンの株式会社の場合、GIS:General Information Sheet において、株主が明記されています。しかしながら、実態と合っていないケースも多く、株主構成をはじめ、授権資本金額、払込資本金額など関連する計算書類と確認する必要があります。また、親子関係にある場合などについては、親会社側の経理状況と一致しているかどうかの確認が必要です。万一、誤った登録がされていたり、既に存在しない株主が登録されている場合には、速やかに株主の変更手続きを行う必要があります。
4.チェックリスト
□ Permanent file の有無の確認
□ 各行政の登録状況の確認
□ 株主構成の確認
□ 役員構成の確認
□ 授権資本金、払込資本金の確認
□ 発行済株式数の確認
□ 株主、取締役、秘書役、財務役の実在性の確認
内容に不備がある場合はSECやBIRへの手続きが必要になりますのでご不安な点がございましたらお気軽にご相談下さい。
本記載事項は事業運営上の参考としての内容であり、法律、許認可、税制、社会保険、その他の法令を解説するものではなく、その内容について何ら保証するものではありません。
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